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私たちは体内でビタミンCを作れません
ビタミンCは水溶性ビタミンの一つで、400年前の大航海時代に船上で流行した「壊血病」を予防する成分として、オレンジやレモンから発見されました。ビタミンCの正式名称は「アスコルビン酸」といい、私たちの体の中では通常還元型のL-アスコルビン酸または酸化型のL-デヒドロアスコルビン酸という形で存在しています。
ビタミンCは私たちが生きていく上で必要不可欠であることから、多くの哺乳動物では体内でブドウ糖からビタミンCを合成することができますが、私たち人間とサルやモルモットなどの一部は合成に必要な酵素をもたないことから、ビタミンCを産生できません。このため、食事から摂取しなければ欠乏してしまうのです。
ビタミンCはコラーゲンの生成に必須の化合物で、欠乏するとコラーゲンが生成できずに血管がもろくなり出血を起こします。これが「壊血病」です。その他の症状としては、いらいらする、顔色が悪い、貧血、筋肉減少、心臓障害、呼吸困難などがあります。
また、毛細血管・歯・軟骨などを正常に保つ働きをする他、皮膚のメラニン色素の生成を抑え、日焼けを防ぐ作用や、ストレスや風邪などの病気に対する抵抗力を強化する働きがあります。
最近ではビタミンCの強力な抗酸化作用が注目され、がんや動脈硬化の予防や老化防止のアンチエイジングにも有効であることが期待されています。
ビタミンCが多く含まれる食べ物
ビタミンCをたくさん取るためには、どのようなものを食べればよいのでしょうか。
ビタミンCを含む野菜・果物類100g当たりの含有量
果物 | VtC含有量 | 野菜 | VtC含有量 |
---|---|---|---|
アセロラ | 800~1700mg | 赤・黄ピーマン | 150~180mg |
ゆず(果皮) | 160mg | ブロッコリー | 140~150mg |
キウイ | 140mg | 青ピーマン | 79mg |
すだち(果皮) | 110mg | にがうり | 75mg |
レモン | 100mg | ほうれん草 | 60mg |
柿 | 70mg | さやえんどう | 60mg |
いちご | 62mg | キャベツ | 47mg |
オレンジ | 60mg | サツマイモ | 29mg |
レモン(果汁) | 50mg | ジャガイモ | 28mg |
果物ではレモンなど柑橘系の他、柿、キウイフルーツ、いちごなどに多く含まれています。野菜の場合に注意しなければいけないのが、ビタミンCは加熱すると分解されてしまう、水溶性なので茹でると水中に出てしまうことです。炒め物が調理後もビタミンCが多く含まれていることから、加熱し過ぎないように調理方法を工夫することが重要です。
生活習慣病の予防等で抗酸化作用を発揮させるには、ビタミンCは1日に83.4mgが必要だとされています。このため厚生労働省では、1日の摂取量は100mgを推奨量としています。
日本人のビタミンCの1日の平均摂取量は93.5mgで、60歳以上の高齢者以外のほとんどの世代でビタミンCの摂取量が不足しています。このため、ビタミンCは意識して摂取する必要があります。
近年、私たち日本人の野菜の摂取量が減少、喫煙やストレスによってもビタミンCは減少することから、さらに摂取量は不足する傾向にあります。これら不足するビタミン類を野菜ジュースやサプリメントで補おうとする人もいますが、ジュースやサプリメントで摂取したビタミンCは野菜から摂取した時よりも排泄までの時間が短いことがわかっています。
なぜビタミンC点滴なのでしょうか
ここで不足する分のビタミンCを野菜類で取ろうとすれば350g、両手3杯分の野菜になります。これだけの量の野菜類を、一日に食べられるでしょうか?
ビタミンCは200mgを経口から摂取しますと80~90%の吸収率(60mgまでは吸収率100%)ですが、サプリメントや栄養ドリンクなどで1,000~2,000mg(摂取許容上限)を摂取しますと、吸収率は20%以下にまで下がります。ビタミンCの血漿濃度は、約400mg/日で飽和するとされていますので、大量に経口摂取しても血中濃度はある一定以上には上がらないのです。
水溶性のビタミンCでは、経口より過剰に摂取された分は尿として排出されます。また便を軟らかくすることから、下痢、悪心などの消化器症状が現れる場合があります。
ところが、ビタミンCを直接静脈内へ高濃度の点滴で投与しますと、経口摂取の数十~100倍の量が全身の血管内をめぐり、各細胞へと行き渡ります。経口で摂取されたビタミンCの血中濃度は0.6mg/dl~1.5mg/dlなのに対して、点滴投与の場合では150mg/dl(25.0g投与)以上にもなります。なお、過酸化水素を発生させるがん治療に使われる超高濃度では、血中濃度400mg/dl(50.0g以上)が必要となります。
過剰に摂取されたビタミンCは水溶性のため、尿として排出されますので副作用などの心配はありません。
高濃度ビタミンC点滴はこんな方にお勧めです
高濃度ビタミンC点滴療法では、ビタミンC自らが酸化されることで相手を還元する抗酸化作用を利用して、抗ウイルスなどの感染症対策、抗アレルギーをはじめとして、美肌のもとコラーゲンの産生、メラニン色素の排除、免疫力を高める、鉄の吸収を助ける、肝臓で酵素の働きを助け解毒など、健康に大きく関わっています。
慢性の炎症疾患の改善にも、強い抗酸化力を利用した疲労対策・アンチエイジングにも効果が期待できます。
次のような方にお勧めです。
- 健康を増進させたい方
- 疲労や、だるさが抜けない方
- 風邪をひきやすいため免疫力を上げたい方
- 炎症性疾患がある方
- お肌のはり、つやの改善をしたい方
- ニキビ、肌荒れやシミが気になる方
- 喫煙、アルコール摂取量が多い方
- ハードな運動をしている方(スポーツ選手など)
- 紫外線に当たることが多い方
- ストレスが多い方
- 冷え性・肩こりにお悩みの方
- がん予防・再発予防をしたい
タバコを吸われる方は、ニコチンによりビタミンCが破壊(1本で25g)されるので、特にお勧めいたします。
高濃度ビタミンCはがん細胞のみを攻撃
2005年9月に、米国国立衛生研究所(NIH)、米国国立がん研究所(NCI)、米国食品医薬品局(FDA)、アイオワ大学フリーラジカル・放射線研究部門に所属する8名のドクターや科学者がビタミンC点滴療法の研究論文を発表しました。
その内容は、「ビタミンCは正常な細胞に影響を与えず、がん細胞だけを殺す」というものです。
がん細胞は大量の糖を栄養源として成長します。ところが、構造式が糖と非常によく似ているビタミンCがそこにありますと、勘違いをしてビタミンCを取り込んでしまうのです。
構造式だけを見せられたら、どちらがどっち?というくらい似ています。実は、糖尿病で使用する血糖値測定器も騙されて誤検知してしまうくらいに似ているのです。
それもそのはずで、人間以外でビタミンCを体内で合成できる動物は、グルコースを原料に生成します。サプリメントで使われるアスコルビン酸(ビタミンC)は、ジャガイモやトウモロコシのでんぷん(グルコースが重合)が原材料です。
ビタミンCは細胞内に入りますと大量の過酸化水素水を発生し、これを除去する酵素が乏しいがん細胞は、酸化されて死滅してしまうというのがメカニズムになります。
抗がん剤はがん細胞を攻撃しますが、一緒に正常な細胞も区別なく攻撃してしまうことから、副作用が強く出てしまいます。これがビタミンCの場合、一般の細胞はこの過酸化水素を除去する酵素(カタラーゼ)を持っていることから、無害で影響が無いというわけです。
そして酸化型アスコルビン酸だけを取り込んで、免疫力を強化していくのです。
米国では、次のガンへの治療効果が報告されています。
乳ガン、前立腺ガン、直腸ガン、肺ガン、悪性リンパ腫、大腸ガン、すい臓ガン、卵巣ガン、膀胱ガン、腎臓ガン、子宮ガン、卵巣癌、多発性骨髄腫 など
高濃度ビタミンC点滴療法でこれらのがんへの効果は報告されておりますが、単独でどの程度の効果があるかということについてはまだ十分な検証がされておりません。現時点では、これらすべてのがんに同等の効果があるとは言えず、標準的治療と高濃度ビタミンC点滴療法を併用することで効果を高める可能性にとどまっています。
また全てのがん患者様に対して何らかの効果を得られるという保証はなく、標準治療と併用する際には主治医と十分に相談する必要があります。
高濃度ビタミンC点滴の注意事項
次の方は、高濃度ビタミンC点滴療法をお受けできません。
- G6PD欠損症の方
- 胸水・腹水・リンパ浮腫のある方
- 頭蓋内腫瘍のある方
- 糖尿病でインシュリン注射を行っている方
- 腎臓機能の低い方、現在透析治療中の方
- 心不全のある方
25.0g以上の高濃度ビタミンC点滴をご希望される場合には「G6PD検査」が必要となります。(12.5gの点滴や、他院で25.0g以上の点滴経験がある場合には、こちらの検査は不要となります。)
G6PD(グルコース6リン酸脱水素酵素)とは、赤血球機能を維持する上で非常に重要な酵素で、このG6PDが欠損もしくは活性が低い場合(異常症)、ビタミンCにより発生した過酸化水素により赤血球の膜が破壊され溶血性貧血が起こります。症状としては、めまいや立ちくらみ、動悸、息切れ、身体のだるさ(倦怠感)等があります。
検査は指先に針を刺して1滴血液を採取、結果は約5分間ほどでご確認いただけます。問題が無ければ、その後続けて点滴を実施させていただきます。
高濃度ビタミンC点滴を受ける前夜や当日、点滴治療の後の食事制限は一切ありません。普段通りの食事でかまいませんが、多量の飲酒は避けてください。
また、空腹状態や脱水状態で点滴を受けますと頭痛や吐き気を伴うことがあります。点滴前には必ずお食事を食べてからご来院ください。お食事を食べていない場合には、点滴中に飴などをご用意いただき、適度に糖分を補給していただくようお勧めもしています。
高濃度ビタミンC点滴の副作用
ビタミンCの毒性は低く、高用量を摂取しても重篤な副作用は生じないと考えられています。よくある症状として、消化管内で未吸収のビタミンCの浸透圧に起因する下痢(軟便)、悪心、腹痛およびその他の消化器症状が出現する場合があります。
- 点滴痛(血管痛)
点滴刺入部に局所的な痛みを感じることがあります。高濃度ビタミンC点滴では通常の点滴と比較して、ビタミンCによる浸透圧差が生じ血管痛になりやすい傾向にあります。
➡ 点滴速度の調整、腕を温めることで対応します。 - 口渇(のどが渇く)
高濃度ビタミンC点滴には利尿作用があります。
➡ ミネラルウオーターや糖分を含まないお茶などで水分補給します。 - 低カルシウム血症
ビタミンCはカルシウムを尿で排出する働きがあり、血中のカルシウム濃度が低下して筋肉のけいれんやしびれが出現することがあります。 - 低血糖
ビタミンCはブドウ糖と化学構造式が非常に似ていることから、体がブドウ糖が入ってきたと勘違いをして血糖値を下げるインスリンを分泌することがあります。めまい、冷や汗、疲労感などが出現します。
➡ 点滴前に食事をとる、点滴中に飴などを舐めて糖分をとる - アレルギー
ビタミンCに対するアレルギーは稀です。
α-リポ酸との併用でビタミンCを再活性化
高濃度ビタミンC点滴では強力な抗酸化力によって活性酸素を除去しますが、アルファリポ酸はそのビタミンCの400倍の抗酸化力で消費されたビタミンCを再活性化させる作用があり、その効果を高めることが期待できます。
エイジングケア・慢性疲労の改善からがんの予防・治療と、幅広く効果が期待できる高濃度ビタミンC点滴とアルファリポ酸点滴を併用することにより、効果を底上げしてくれることが期待できます。
アルファリポ酸は分子量が小さいため、脳の毛細血管の脳関門を通過することができ、脳内まで抗酸化作用が働き認知症の改善にも役立つと言われています。
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高濃度VtC自費点滴費用
高濃度ビタミンC (マイラン社製) |
12.5g | 7,480円(税込) |
25.0g | 11,000円(税込) | |
50.0g | 16,500円(税込) | |
高濃度ビタミンC (国産 バイオアクセル社製) |
12.5g | 4,950円(税込) |
25.0g | 8,800円(税込) | |
50.0g | 13,200円(税込) |